開発ノートvol.01|なぜ私たちは「IPX6」にこだわったのか

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|大椛正志(Masashi Okaba)大椛正志(Masashi Okaba)

Suzukazeの「SK-10x50」の防水性能についてご紹介します。

開発ノートvol.01|なぜ私たちは「IPX6」にこだわったのか

山の夜は、静かで美しく、そして気まぐれです。
日中は晴れていたのに、夕方から突然の雨。そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

私たちはこの双眼鏡を設計する際、そうした「自然の気まぐれ」に寄り添うことを大切にしました。
その結果たどり着いた答えが、防水等級 IPX6 の採用です。


<IPXの数字、実は「大きいほど良い」とは限らない>
防水規格の「IPX」は、0から9までの数字で防水性能を示す国際基準です。
一見すると「数字が大きいほどすごい」と思われがちですが、実際にはそれぞれ“耐えられる水のタイプ”が違います。

IPX6 … 強い水流(豪雨や吹き付け)に耐える

IPX7 … 一時的に水中に沈んでも壊れない

つまり、IPX7は水没に強いけれど、強い雨に強いとは限らないんです。
IPX6は、直径12.5mmのノズルから毎分100リットルの水を約3mの距離から浴びせても内部に水が入り込まないという厳しいテストに合格しています。


<星空を観る人にとって、守るべきは「視界」>
星空を見上げる人にとって大敵なのは、水没よりも、突然の雨や夜露、そして気温差による結露です。

私たちは「IPX6」に加え、内部に窒素ガスを充填することで、レンズ内部の曇りを防ぐ設計にしています。

これにより、
・山の冷たい風が吹きつけても
・夜露がしっとり降りても
・気温が急に下がっても
視界はいつまでもクリアなまま。

その安心感こそが、観察を心から楽しむための土台になると考えています。


<「現実の使用環境」に合わせた、ちょうどいい防水>

私たちは、星を観る人の現場感覚を大切にしています。
水中に沈めることよりも、「突然の雨の中でも安心して観られること」。

数字の大きさではなく、現実に合った防水性能こそ“最適な強さ”だと考えました。

—— 星空を愛する人に、自然とともに歩む豊かさと安心を。
それが、私たちがIPX6を選んだ理由です。

大椛正志(Masashi Okaba)
大椛正志(Masashi Okaba)涼風工業 代表

双眼鏡に特化した国内ブランド「涼風工業」を運営。 100社以上の製造パートナー候補から選定を行い、光学性能・耐久性・使用環境を踏まえた製品設計を行っている。 スペックだけでなく「見え味(自然な見え方)」を大切にし、星空観察・野鳥観察・ライブなど、実際の使用シーンに寄り添った視点で検証と発信を続けている。 光の通り方や見え方に向き合いながら、日常の中でふと立ち止まりたくなるような体験を届けたいとの思いから、双眼鏡の選び方や楽しみ方を伝えている。